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2016/07/11

loiko

と書いても、おそらくロイコと読んでよいと思うのですが、
残念ながらこれは正しいスペリングではありません。
鍵盤のひとはタイトルなどを付けるときに、
言葉の持つ意味合いと同時に、語感とか見た目とかのイメージをけっこう重要視するので、
日本語でも英語でも、まっとうな常識で考えると盛大なスペルミスに見える曲名があったりする、
具体的にはかの「BLACK LEADY」などが挙げられますね、

具体的にはかの「BLACK LEADY」などが挙げられますが、
では今回のアルバムの最終曲である「ピアノDLY」はどうなのかと言うと、
これはおそらくスペルミスではない・・・略式「DLY」、
しかしこれ、なんて読むのってよく言われますね、







000005.ピアノDLY

「新しい旅へ出よう」


・ぴあのでぃれいと読みますよ。
・デモ音源の完成は2015年3月。今回のアルバムの収録曲の中では、デモ的には最も新しい曲ということになる(バンドでの初演自体は、night blackの方が遅い)。
・バンドでの初演は2015年5月末ということだったはず。直後の6月にフェノメノンズ初の音源「BLACK LEADY / 雨のあと」のレコ発企画があって、それに間に合わせようと頑張っていたのだった。ふぇのめのんずの永きに渡る課題として、「アンコール向けの楽曲が存在しない」ということがあり、その対策としてなんとしても企画までに成立させねばならなかったのである(ちなみにこの6月の企画のときには、アンコール時にまず鍵盤のひとだけが登場して曲のイントロを弾き始め、遅れて他のメンバーが登場するというエモーショナル演出を行った。メンバーからは「お前が先に鍵盤に座ると登場動線が狭くてめんどい」ともっぱら不評だった)。いちおうこのときは「ピアノDLY」をアンコールにしたことで乗り切ったのだが、それ以来(ありがたいことに)この曲がけっこう人気を博してしまったため、アンコールに回しづらくなり、結果的にアンコール問題は現在も解消されていない。
・基本的に新曲の実現が遅いふぇのめのんずにおいて、デモ音源完成から二ヶ月半ほどで実現にこぎつけたというのは異例な速さである(つまり普段がすごく遅い)。これは鍵盤のひとがこの曲を猛プッシュしたことによるもので、この点も異例である(他にも猛プッシュした事例として「夢々し」などがある。ちなみに「夢々し」と「ピアノDLY」はイントロのコード進行が同じ・・・うん・・・好き・・・)。
・猛プッシュの理由はふたつあり、ひとつは単純に「この曲こそが今ふぇのめのんずに必要だと思ったから」というまっとうな判断。その判断の理由を例え話で説明するために、鍵盤のひとはなぜか「メタモン」を引き合いに出したりしていた(そしてちょっとそれを後悔した)。「例えば”水天楼”とか”wednesday”とか”雨のあと”で、今まで水タイプのポケモンばっかりだったところに、”BLACK LEADY”で悪タイプ、”戦闘機平成”で炎・空タイプみたいな流れがあるでしょ。次に我々に期待されてるのは、水→悪→炎と来たから・・・草タイプかな?みたいな、傾向の読まれ方をしてると思うんですよ。確かに我々が草タイプを出したら意外性はあるけど、でもそれは<想定されうるレベルの意外性>なんです。その流れをここで一度リセットするために、次の一手はまったく違う角度から差し込みたい。つまり我々が次に手持に加えるべきは、メタモンなんです」みたいな。
・ライブハウスでこの曲の照明オペレーション要望書を出すときにいつも「特定の色の印象が付かないように」という注文を付けるのだが、そのあたりの発想も似たところである。
・猛プッシュのもうひとつの理由としては、この曲が鍵盤のひと的にかなり大事な曲だったからである。実は、この曲を象徴するイントロのピアノリフの原形は2012年の6月ごろ(それこそ「夢々し」と同時期くらい)に出来たもので、しかし鍵盤のひとは直感的に「これは自分にとってかなり大事な曲になる」と思っていたので、そのピアノリフを何に使うか迷っていたのである。インスト化してソロで発表するか、ボカロ化するか、バンドに使うか、などなど。そしてその判断が、単に曲を何に使うかということに留まらない、その後の自分の生き方にまで及ぶ可能性をどこかで感じ取っていた。つまりこの曲をバンドに使うと判断したことは、僕にとってひとつの、「バンドへの決心」と同義だったのだ。それはふぇのめのんずが現在の編成になってから半年ほど過ぎた、2016年初頭のことであるので、2012年の6月から、三年半の月日を経てようやく、この曲を書く明確な意志に辿り付いたのである。
・しかして、書こうと思ってもあんまり書き進まらなかったのだ。「明確に書く意志がある状態」で長期難航をするケースはけっこうまれで(前例としては三ヶ月を要した「臨界事故」がある)、その理由としては、「イントロのエモーショナルの正体がわからない」というようなことだった。つまりは、この曲がどういう曲なのか、自分でわからなかったのである。わからず、わからず、わからないまま、そしていつだったか、「あ、わからないんだ」ということに辿り付く(なにそれ)。「わからない状態から始まる」という方針を思い付いたのだ。そこでこの曲の音楽的テーマが決定した。この曲は「エモーショナルの再獲得」の曲である、と。いわば、「すかすかになったこころが復活するまでの曲」だ。
・タイトルの「ピアノDLY」は、2012年時から仮タイトルとして付けられていた名前なのだが、そういうわけでこの曲は先入観を持って聞かない(=すかすかな状態で聞く)方が良いだろうということで、このままのタイトルで採用としたのだった。
・「DLY」とはすなわち「DELAY」なのだが、何がディレイかって言えばそれは・・・ただ、今となっては、これはエモーショナルのディレイ、ということなのかもしれないとも少し思う。正解はいかに。
・この「DLY」がやたらと間違われやすく、「ドライ」と読んでしまうポピュラーなミスは勿論のこと、「DRY」 という非常にアルコーリッシュな解釈や、「DIY」という気の遠い道のりを示す方々もありあり、もうめんどうなのであまり訂正しなくなってきている。
・(個人的には最近、「ぴあのでぃーえるわい」と読むのが好き)
・なんだかんだアルバムのリード楽曲という扱いを受けている。もともと鍵盤のひとはアルバムのキラーチューンは「戦闘機平成」だと思っていて、というか今でもそう思っているのだが、何かに付けて引き合いに出されるのは「ピアノDLY」の方である。まぁもともとこのアルバムにはリード楽曲みたいなものは設定しないという方針になっていたのだけれど、ただ、今回のこの選曲なら、おそらくアルバムのトリはこの曲になるだろうということだけは早い段階から決まっていたので、だから僕は、このアルバムはどんなに転んでも最後には希望の方向を向いたものになるだろうと確信していた。なんてったって、「新しい旅へ出よう」ですからね。






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