ということは、芸人の基本でして、
私は音楽家でありますが、芸人でもあるので、
音楽を作る際にも、客を意識するというか、
いや、どちらかというと、
客の存在がモチベーションになる、ということでしょうか。
環境が充実した現代はともかく、
かつては、作曲家達は、
それを演奏して”もらう”ことを前提として曲を書いていました。
録音媒体がない。
いろんな音の出せる万能な機械がない。
ひとりでは、どうしようもなかったんです。
その意味で、
作曲家にとっての”客”は、
聴衆でもあれ、
演奏家でもあったはずなのです。
中学時代吹奏楽部だった私が、
高校では、軽音楽部に入部し、
そこで、作曲家としての自分が最も大きな影響を受けたのは、
身近な”演奏家”の存在です。
吹奏楽部は、
よくもわるくも規模が大きい。
中学時代に吹奏楽用のスコアも書きましたが、
やはり何十人を巻き込んで演奏してもらうことはできなかった。
それまで、自分のために、
自分一人で完結する曲を作ってきた私が、
軽音楽部時代、
いよいよ、誰かに演奏してもらうための曲を書くようになった、
それは、ひとつの革新です。
演奏者を前提として、書く曲がある。
当たり前なんですけどね。
ただ、
少し、自分の遅筆を呪うこともあります。
例えば、その”誰か”を前提に書いていた曲、
それが完成する前に、
その”誰か”が、いなくなってしまったり、とか。
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2011/12/02
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